遺言は、死後分配すべき財産について、亡くなった方の意思を実現するためのものです。
その作成に当たっては、将来相続人間で紛争が勃発することを防ぐため、どのような方法で遺言を作成するのか、内容はどういったものにするのか、相続人間で遺留分の争いが起こらないために何ができるのか見極めなければなりません。
また、遺言が作成されていた場合でも、有効な遺言か否かが争いになる場合もあります。
相続が発生し、遺言が存在しない場合、相続人間で遺産分割協議をしなければなりません。
協議をするにあたっては、まず相続人及び相続財産を調査する必要があります。
相続人及び相続財産が明らかになれば、遺産分割の協議(話し合い)を行います。話し合いで合意に至らなければ、その次は遺産分割調停を申し立てる必要があります。調停とは、第三者(調停委員)を介し、話し合いを行う手続です。仮に調停でも合意に至らなければ審判に移行します。
遺産分割にあたっては、相続財産を適切に評価した上で、生前贈与の有無・相続人がした特別の貢献等も考慮した上で、公平な分割を実現しなければなりません。
相続財産に対する相続人の最低限の持分が遺留分です。相続人の一部は、たとえ遺言で他の相続人に全ての財産が承継されていても自分の持分の2分の1を請求することができます。
但し、実際に請求できる割合をめぐっては、相続財産の評価や生前贈与の有無等が問題となります。つまり、遺留分侵害額請求をされたとしても、単純に法定相続分の2分の1を渡さなければならないとは限りません(現物(共有持分権)を返還するのか、金銭の賠償(価格弁償)をするのかも問題となります。)。
相続の場面でたびたび問題となるのは使途不明金問題です。
これは、特定の相続人や第三者が、被相続人の金銭を亡くなる前後に使い込んでしまっている場合です。
この金銭の返還を求めるためには、金銭の使い込みを立証しなければなりません。そのためには、銀行の取引履歴や払込用紙等の資料、医療記録や介護記録等から、金銭の流れや被相続人の状況を明らかにしていくことが重要です。
特定の人物が金銭を受け取っていることが明らかになった場合、その人物に返還乃至賠償を求めていくことになります(民事訴訟)。もし、その人物がもらったということになれば、相続人であれば特別受益(生前贈与)の問題となります。
当事務所では、相続に関する幅広い問題について相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。